キーワード:やぐら、腕金、がいし


き電線や架空地線の支持方法

前回の記事では、ビームや下束、可動ブラケットを利用してトロリ線(曲線引装置・振止装置)やちょう架線を支持していることを説明しました。
しかしき電線架空地線など、他にも電線類はありましたよね。
今回はそれらの支持方法について説明します。


首都圏ではほとんどの支持点にビームがあるため、その上のスペースを利用して支持されます。
具体的には、下図のような門を組んでその中でき電線を支持する方法が一般的です。
この門のことをやぐらと呼びます。

一方、地方ではビームがない場合が多いため、下図のように電化柱に支持用の鋼材を取り付けてき電線を支持するのが一般的です。
この鋼材のことを、電化柱から腕を伸ばしたように見えることから腕金(うでがね)と呼びます。

架空地線の支持方法については、き電線と同じく腕金を使うのですが、腕を横に伸ばすのではなく縦に伸ばしています。
これは、架空地線は全ての電車線設備よりも高い位置にないと、落雷から守ることができないためです。
き電線をやぐらで支持している箇所では、その一辺を長くして、その先端に架空地線を支持する場合もあります。



がいし

ここまでで、線モノの支持方法は一通り説明しました。

ところで、先ほどのやぐらや腕金の例でもそうでしたが、電圧がかかっている架線を支持するときに△のマークがあったのにお気付きでしょうか?
この△マークはがいしと呼ばれる絶縁体を表しています。
がいしとは、高い電圧がかかっている電線などを支持するときに、支持物との間に挟むことで、支持物側には電圧がかからないようにしてくれる設備です。
鉄道の線路上や街中の送電鉄塔などを見ると、白い器のような形をした陶磁器をよく見かけると思いますが、あれががいしです。

逆にがいしを挟まずにき電線やちょう架線、トロリ線を支持すると、下図の右側のように設備全体が加圧されてしまいます。

そうすると、例えば駅のホーム上にある電化柱にも高い電圧がかかっていることになり、触ると感電してしまい非常に危険です。
そういった事故を防ぐため、必要最小限の部分だけが加圧されるように、上図左側のようにがいしを使用しているのです。


以上で電車線の基本的な設備はほぼ説明が終わりました。
もしも今後線路を眺める機会があったら、ぜひ電車線設備にも着目してみてください。
このブログでの説明を読む前と読んだ後とでは、見える世界が大きく変わっているはずです。

次回はこれまでの総まとめです。



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