分野:統計学、経済学

大数の法則とは?

大数の法則とは、1回の試行につきある確率(数学的確率・理論的確率)で起こる出来事について、何回も試行を繰り返せば、実際の確率(統計的確率・経験的確率)は理論的確率と等しくなる、という法則のことです。

例えば、サイコロの各目が出る理論的確率が1/6ということはご存知かと思いますが、実際に6回振ったとき『1の目』が1回、『2の目』が1回・・・というように各目が1回ずつ出ることはまず起こり得ませんよね。
しかし、サイコロを600,000回振ったとすれば、『1の目』が100,000回、『2の目』が100,000回・・・と、1/6に限りなく近づいていく、ということをこの大数の法則は示しています。
自分が大学生だった頃、サークルの先輩が、夜通し酒を飲みながらサイコロを振って出目を記録していたことがあったのですが、今思えば大数の法則を実証しようとしていたのですね(笑)

この法則は直感的には当たり前のような気がしますが、非常に画期的な法則で、ビジネスにも応用されています。
 

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カジノの例と期待値

その応用例の1つがカジノです。
カジノの客1人1人が実際に遊ぶ回数はたかが知れていますが、カジノの経営者側から見ると、全ての客が遊んだ回数のトータルが儲けに関係しており、それは相当な回数になります。
すると経営者側には大数の法則が適用されるため、客にとってはその日どのくらい勝つか、あるいは負けるかは未知ですが、カジノ側からすれば大体の儲けは事前に予測できるということです。

そして、カジノが確実に儲けられるということは、ギャンブルの中にも公平な賭けと不公平な賭けが存在するということになります。
賭けが公平か不公平かを判断する方法として、期待値という考え方があります。
期待値とは、簡単に言うと、平均してどの程度儲けられるかの指標のことです。
つまり期待値が0の場合は、平均すると儲けがないということなので公平な賭けとなります。
逆に期待値が100円の場合は、その賭けをたくさん繰り返すと平均して100円儲かる(客側からすれば100円損する)ということなので、不公平な賭けとなります。

公平な賭けの例はコイントスです。
表が出たら100円もらえ、裏が出たら100円支払うという賭けの期待値Eは、

E = 100 × 1/2 -100 × 1/2 = 50 - 50 = 0

なので、公平な賭けということになります。

不公平な賭けの例はルーレットです。
1から50までの数字を選んでルーレットを回し、選んだ数字が当たれば4,500円もらえ、外れれば100円支払うという賭けの期待値Eは、

E = 4,500 × 1/50 -100 × 49/50 = 90 - 98 = -8

となり、平均すると1回賭けるごとに客が8円損する(カジノは8円儲ける)不公平な賭けということが分かります。

このように、賭けにも公平な賭けと不公平な賭けがあり、カジノはそれを巧妙に計算して、確実に儲かるようにしているのです。
 



保険会社の例

同様に、保険会社も大数の法則を利用した商売をしています。
例えば自動車保険を例にとると、たった10台しか保険に加入していない場合は、もしそのうちの2、3台が事故を起こしてしまうと保険会社は大損となってしまいます。
しかし100,000台加入していれば、大数の法則が適用され、事故を起こす台数はおおよそ予測できるため、期待値通りの儲けを得ることが可能になるのです。


このように、一見運に左右されているように見えても、実は大数の法則によって厳密に計算された上でビジネスとして成り立っている例は数多くあります。
しかし大数の法則を成り立たせるためには、より多くのお客さんに来てもらわないといけません。
大数の法則を利用しようとする場合は、その点に注意が必要です。

また逆にこういったものに客として関わる場合は、期待値を考慮し、賭けが公平か不公平かを見極める目を持つことが、騙されずに生きていく上で重要でしょう。


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