キーワード:外燃機関、汽力発電(蒸気タービン発電)、内燃機関、ガスタービン発電、コンバインドサイクル発電
難易度:★☆☆☆☆(三種レベル)

熱力学のおさらい

前回までの記事で、火力発電を論じるのに必要熱力学の説明が終わりました。
水力発電の基礎である流体力学と比べると、火力発電の基礎である熱力学はかなりボリュームがあり難解だったと思います。
しかし『火力発電を学ぶのに必要な最小限の熱力学』を凝縮してありますので、この先つまずいたらぜひ読み返してみてください。
簡単に要点だけおさらいしておきましょう。

火力発電熱エネルギーを用いた発電方法ですが、動作流体常に流れているので流れ仕事を考慮する必要があります。
したがって動作流体の持っているエネルギーの総量は内部エネルギーだけでなく流れ仕事も含めて考えるのが合理的ということで、エンタルピーという概念が導入されました。

また、動作流体状態変化を繰り返しながら常にぐるぐると回っています。
その熱サイクルはグラフ上に表すと扱いやすくなるので、p-V線図導入されました。
しかしp-V線図では熱の出入りが分かりにくいので、それを分かりやすくするためにエントロピーという物理量を定義し、T-s線図導入しました。

また気体状態変化には主に等温変化、等圧変化、等積変化、断熱変化があり、それらの組み合わせで熱サイクルが作れることを学びました。
そして、等温変化断熱変化を利用して作るカルノーサイクルという熱サイクルが理論上最も熱効率が高いことが分かりましたが、とても実用的ではないため、これに似たT-s線図となるように 様々な形のサイクルが考えられて実用に至っています。

今後はその実用に至っている熱サイクルを持つ熱機関について学んでいくということになります。


ちなみに、もしも熱力学をしっかりと体系的に学びたいのであれば、以下の『例題でわかる工業熱力学』という参考書をオススメします。

例題でわかる工業熱力学

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この本は工業熱力学というだけあって、熱力学の基礎を分かりやすく教えてくれるだけでなく、実用化されている様々な熱サイクルとそれを実現する熱機関について細かく解説してくれるので、電験の参考書だけでは火力発電の細かな部分の説明がどうしても不十分になってしまいますが、それを補ってくれる非常に良い本です。


いろいろな火力発電

さて、いよいよ火力発電の話に入っていきましょう。
以前火力発電について、水(蒸気)に熱エネルギーを持たせ、それを運ばせてタービンを回して発電する方式のことだと説明しました。


しかしこれは実を言うと、火力発電の一種である『汽力発電』、またの名を『蒸気タービン発電』のことを指していました。
汽力発電は火力発電の中でも主流の発電方式なので、以前の説明の際には火力発電の代表として紹介しましたが、これだけが火力発電であるという誤解の無いようにお願いします。

汽力発電は、動作流体(水)に熱エネルギーを加える際に、容器や管路を隔てて外から加熱するため『外燃機関』の一種です。
外燃機関があれば当然『内燃機関』もあり、その一種として『ガスタービン発電』があります。
内燃機関ですので、動作流体(この場合は空気)を直接加熱して熱エネルギーを与え、タービンを回して発電するという方式です。

他にも内燃機関としてディーゼル発電などがありますが、電験には出ないので当ブログでは説明を省略します。

つまり、まとめると以下のようになります。



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コンバインドサイクル発電

先ほど『火力発電≠汽力発電』と言いましたが、電験三種では『火力発電=汽力発電』と言ってもいいくらい、ガスタービン発電の問題は出ません。

しかし『コンバインドサイクル発電』の問題はよく出ます。
コンバインドサイクル発電とは、ガスタービン発電と蒸気タービン発電を文字通り組み合わせた発電方式となります。
熱力学第二法則が示すように火力発電では必ず熱を捨てなければなりませんが、実はガスタービン発電での排熱は非常に高温になるので、これを蒸気タービン発電の高温熱源として利用しようという賢い発電方法なのです。

コンバインドサイクル発電一部を成している以上、電験に出ないからといってガスタービン発電を無視するわけにはいかないでしょう。


まとめ

①いろいろな発電方法:

②コンバインドサイクル発電
蒸気タービン発電+ガスタービン発電


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