キーワード:電気機器、回転機、静止器、回転子、固定子、電機子、界磁、回転界磁型、回転電機子型、電機子巻線、電磁石、界磁巻線
難易度:★★☆☆☆(三種レベル)

発電所の次に学ぶこと

これまでに水力発電火力発電について説明してきました。

他にも我が国の発電方式として原子力発電がありますが、社会情勢的に下手に言及するわけにもいかないのでとりあえず省略します。
ただ、原理的な話をすると、原子炉原子力エネルギーを生み出して、そのエネルギーを用いて過熱蒸気にしてタービンを回すという仕組みなので、火力発電におけるボイラを原子炉に置き換えただけのものという認識でとりあえずは良いでしょう。

また、他にも近年は再生可能エネルギー風力、太陽光、地熱など)を利用した発電方式が広く普及してきています。
これらは別途、時間を割いて説明しますので、今回のタイミングでは飛ばします。

ここで水力発電火力発電について思い出していただきたいと思います。

【水力発電の概要】

【火力発電(汽力発電)の概要】

水力発電は水車を、火力発電はタービンをそれぞれ回すような機構となっていて、その回転力を、接続された『発電機』に与えることによって電気エネルギーを生み出しています。

つまりエネルギーの流れを追いかけていくためには、次に『発電機』について考える必要がありそうです。

本来、発電所の次には変電所の勉強をするのが普通の教科書や参考書の流れですが、ここはその普通の流れには逆らって、あえてエネルギーの流れに沿って説明していきたいと思います。
したがって、『電力』科目と『機械』科目を行ったり来たりすることになりますが、そこはあまり気にすることはないでしょう。
以前から言っているように、電力と機械をマスターすれば、理論の力は自ずとついてくるし、法規の勉強もし易くなります。
つまり電力と機械に最も力を注ぐべきなのです。
そうであれば電力、機械などと科目を区分することに意味がないことは分かっていただけると思いますし、ごちゃ混ぜにして学習ルートを再構築することで効率的にインプットできるならばそうするべきでしょう。


電気機器とは?

ということで、今回からは発電機について学んでいきます。
発電所に使われている発電機はいわゆる『同期発電機』なのですが、それについて説明する前にまずは電気機器の全体像を掴んでおきましょう。

そもそも『電気機器』とはどういうものでしょうか?
『機』回転などの機械的な動作を伴うようなものを表し、『器』機械的な動作を伴わないようなものを表します。
電験で出題される電気機器は基本的に以下のように分類されます。


以前説明したように、電圧をかけることで回転運動をする電動機(モータ)回転させることで電圧を発生する発電機表裏一体であり、いずれも回転を伴う機械なので、電動機と発電機のことをまとめて 回転機と呼びます。


一方、変圧器回転などの機械的な運動を伴わないため静止器に分類されます。

これから説明する同期発電機は、回転機の中でも交流を発生させる発電機ということになります。


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回転子・固定子とは?

発電機の基本的な概念は以前も説明しましたが、以下の図のようになります。


この図において、回転している部分(左:棒磁石、右:ループ)と静止している部分(左:ループ、右:U字磁石)があるのはすぐに分かると思います。
この回転している部分のことを『回転子』静止している部分のことを『固定子』と呼びます。


電機子・界磁とは?

改めて発電機の概念図を掲載します。


発電機の原理は以前も説明した通り、ループを貫く磁束の大きさが変化することで、ファラデーの法則によって起電力(電圧)が誘導されるというものでした。
つまり、発電機には『誘導起電力を発生させるためのループ』『磁束を発生させるための磁石』2つが必要ということが分かりますね。

上の図を見ればまさにその2つの組み合わせで構成されていることが分かると思います。
このように、誘導起電力を発生させるためのループのことを『電機子』と呼び、磁束を発生させるための磁石のことを『界磁』と呼びます。

そして、上の図の左側回転子が界磁なので『回転界磁型』右側回転子が電機子なので『回転電機子型』と呼ばれます。
同期発電機としてよく用いられているのは回転界磁型なので、今後は回転界磁型に絞って説明しようと思います。

ちなみに、上の概念図ではループを1巻の単純な形で表していますが、実際には誘導起電力を高めるために何重にも巻いています。
したがってループという呼び方ではなく一般に巻線と呼び、電機子を構成している巻線のことを『電機子巻線』と呼びます。
一方、界磁に関しては、概念図では棒磁石やU字磁石などのいわゆる永久磁石を使用していましたが、以前説明した電磁石を用いる場合も多く、その場合は巻線が存在します。
電磁石を構成するための巻線のことを『界磁巻線』と呼びます。


まとめ

①電気機器:

②回転子・固定子
回転子 ⇒ 回転している部分
固定子 ⇒ 静止している部分

③電機子・界磁:
電機子 ⇒ 誘導起電力を発生させるループ
界磁 ⇒ 磁束を発生させる磁石

④電機子巻線・界磁巻線:
電機子巻線 ⇒ 電機子を構成する巻線
界磁巻線 ⇒ 界磁を構成する巻線(電磁石)



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