キーワード:がいし形セクション、スライダー、FRP形セクション、母線
がいし形セクションの特徴
前回説明したように、インシュレータセクションはエアセクションとは対称的で、設備の構成が非常にコンパクトな電気的区分装置です。
しかしその分狭い範囲に荷重が集中するため、そこが硬点となってしまうので、列車は減速しないと通過できないという欠点があります。
それではもう一つの条件である『完全な絶縁』についてはどうでしょうか。
まずはがいし形セクションについて説明します。
2組の電車線をそれぞれがいしで電気的に区分し、トロリ線にはスライダーを設けることで、エアセクションのようにパンタグラフの接触するトロリ線を一方から他方へと移行させるような構成になっています。
(下の図は電気的区分の様子です。)
したがってエアセクション同様、2本のトロリ線に同時に接触する瞬間があり、上の図で言えば赤と青の電気が瞬間的に混ざってショートしてしまうため、絶縁が完全とは言えません。
また、がいしの数量が非常に多く、その重量は1つあたり3kgほどあることを考えると、かなり減速させないと通過できないほどの硬点となってしまいます。
しかしその分、非常にコンパクトな設備構成となっています。
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FRP形セクションの特徴
そこで次に開発されたのがFRP形セクションです。
FRP(Fiber Reinforced Plastics)と呼ばれる高い電気絶縁性能を持つ材料を使った電気的区分装置で、2本のトロリ線の間にFRPを挿入し、ちょう架線はがいしで区分するような構成になっています。
(下の図は電気的区分の様子です。)
FRPは『鉄よりも強くアルミよりも軽い』と言われることもあるように、非常に軽い材料です。
したがってがいし形セクションと比較すると、FRP1本とがいし数個だけなので非常に軽いため、列車も少し減速するだけで通過可能です。
しかしいくら軽いとは言え集中的に荷重が発生してしまうことには変わりないため、エアセクションのように減速せずに通過することはできません。
また、FRPの長さは非常に短いため、1つ目のパンタグラフがFRPセクションを通過して次の区間のトロリ線に接触しても、2つ目のパンタグラフはまだ手前の区間のパンタグラフに接触しており、すべてのパンタグラフは電車内で母線を通じて電気的に接続されているためショートしてしまいます。
つまりFRPセクションも絶縁が完全とは言えません。
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